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第四分室へようこそ!早速続きを始めたいと思います。

天照大神と須佐之男命

須佐之男命の昇天
追放された須佐之男命はまず天上の天照大神に挨拶をする為に高天原にむかった。
その時、地上の山も川も悉く揺れ動いたので
天界の天照大神は非常に驚いた。
「弟がこの国を奪おうとして、やってくるにちがいない。」
と、考えた天照大神は髪を角髪(みずら)*1 に結い、
八尺*2の勾玉の五百箇の御統の玉(いおつのみすまるのたま)を髪にも左右の手にも巻き持ち、
背には矢筒を背負い、勇ましく弓を降りたて、足を踏み鳴らし、
雄たけびを上げて、須佐之男命に問いだたした。
「何をしにまいったか!!」
「私は、姉上に対してなんの謀反心もありません!!母の国に行きたいといったところ
父に追放されたので、行く前に姉上に挨拶に参っただけです!」
「それをどう証明する?」
そこで須佐之男命は答えた。
「では、私のいっていることが正しいかどうか、各々で誓約(うけい)*3 により子を産みましょう!」

*1、角髪は男の髪型。ここでは戦いの為に男装をしたことを示している。
*2、一尺は約33cmぐらい。しかし八という数字から非常に長いと言う意味であると思われる。
*3、神意を問う、占い。

さて、追放されたと言うのに呑気なスサノオは高天原に向かいます。
本人いたって呑気なのですが アマテラスの方は心穏やかではなかったようです。
何で弟が来るだけで戦いの準備をしなければならないのでしょう??
アマテラスとスサノオの間には記載できない事件が過去におこっていたのでしょうか?
と、すると・・・非はきっとアマテラスに会ったと考えられます。
なぜならば、スサノオに非があるのならば隠す必要がないからです。
なぜアマテラスが臨戦体制を取らなければならなかったのか、堂々と書けばいいからです。
アマテラス側に非があるからこそ、記述できなかったと考えられます。
皇室の正当な祖先神であるアマテラスに間違いがあってはならないのです。
いやいや、なかなか怪しい記述が続きますねぇ。
ところで余談ですが、
アマテラス男神説の根拠の一つに伊勢神宮に治められた男物の衣装と いうのがあります。
私が思うにこれは、この時のアマテラスの衣装を模したものではないでしょうか?
魅力的な根拠ですが、押しが弱いようです(^_^;)

天の安の河の誓約
天照大神と須佐之男命は天の安の河の両岸に立ち、誓約を行うことにした。
まず、
天照大神が須佐之男命の十拳剣を受け取り、
三つに折り、天の真名井(あまのまない)*1 にて漱ぐと、 噛み砕いた。 その吹き出す息から誕生した神々の名は
多紀理毘売命=たきりびめのみこと(またの名を奥津島比売命=おきつしまひめのみこと)
市寸島比売命=いちきしまひめのみこと(またの名は狭依毘売命=さよりひめのみこと)
多岐都比売命=たきつひめのみこと
の、合わせて三柱の女神である。
この三柱の神は、宗像三神となり、
多紀理毘売命は胸形の奥津宮(おきつみや)に
市寸島比売命は中津宮(なかつみや)に
多岐都比売命邊津宮(へつのみや)に
それぞれ祭られている。

次に須佐之男命が天照大神の八尺の勾玉の五百箇の御統の珠を受け取り、
天の真名井にて漱ぐと、 噛み砕いた。
その吹き出す息から誕生した神々は
正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命=まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと
天之菩比能命=あめのほひのみこと
天津日子根命=あまつひこねのみこと
活津日子根命=いくつひこねのみこと
熊野久須毘命=くまのくすびのみこと
の、合わせて五柱の男神である。

ここで天照大神は須佐之男命に向かっていう。
「ここで生まれた五柱の男神は私の持ち物から生まれたのだから、私の子である。
 先ほど生まれた三柱の女神はおまえの持ち物から生まれたのだから、おまえの子である。」

*1、神意を図る時に使う神聖な水の湧く井戸のこと。

須佐之男命の勝さび
天照大神の言葉に須佐之男命は勝ち誇って叫ぶ。
「では、私の心が正しい事が証明されました!!私の勝です。」*1
勝に奢った須佐之男命はとんでもない行動に出る。
天照大神の田の畔を壊し、溝を埋め、
神殿の食堂に屎を撒き散らした。
しかし、そのような行いにも天照大神は怒りはしなかった。

須佐之男命の行動は益々エスカレートし、とうとう彼は、神の衣を織る神聖な機織部屋に
馬の逆剥ぎの皮を投げこみ、驚いた機織女を死に追いやってしまう。

ここにいたって、とうとう天照大神は須佐之男命の振る舞いに激怒した。

*1、手弱かな、女性の神が生まれたと言うことは、自分に荒荒しい心がなかった、という事の証になるから

さて、あんなに強気だったアマテラスが一転エライものわかりのいいお姉さんにかわってしまいます。
変ですね〜!!誓約の結果、スサノオが突然、傍若無人な振る舞いにでるのも少々違和感を覚えます。
戦いの準備までして、迎えたスサノオをどうして???
誓約の結果、誕生した三柱の女神と五柱の男神とは、いったい何なんでしょう???
アマテラスの気持ちをここまで変えてしまう隠された事実とは??!!
しかもこの時誕生した男神のうちの一人、オシホミミの子はこの後スサノオの子孫である大国主を 滅ぼしてしまうのです・・・・
う〜ん・・・ミステリー( ̄ー ̄)・・・(ッてこればっか・・・(^^ゞ・・・)
ところでスサノオが犯した罪と言うのは、延喜式の大祓詞の中にある「天つ罪」の中の
畔放=アナハナチ(田の畝を壊す事)
溝埋=ミゾウメ(水路を埋めてしまうこと)
屎戸=クソヘ(汚い物を撒き散らす事。)
逆剥=サカハギ(獣などを殺し、皮を尻の方から剥ぐ事)
に、あたります。稲作においてのやっては行けない事という事で、重い罪と考えられています。
そこまでの大罪を犯したスサノオを見逃したアマテラスも
侍女の一人が死んだ事にはとうとうキレテしまいます。(日本書紀にはアマテラス自身が傷ついたとの記述があります。)
そして、あの有名な天の岩戸のお話につながっていきます。

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