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第十四分室へようこそ!早速続きを始めたいと思います。

猿女の君
さて、降臨するにあたって功績をあげた天宇受売命=あめのうずめのみこと は
猿女の君=さるめのきみ と名乗る事となった。

その名の由来となった、猿田毘古神=さるたひこのかみ はある日、阿邪訶(あざか)*1 で
潜って漁をしているとき、海底で比良夫貝=ひらぶがい に手を挟まれて溺れてしまった。
その時底に沈んでいる時の名を
底どく御魂=そこどくみたま といい、
海水に立つ泡の名を
つぶたつ御魂 といい、
その泡の割れるときの名を
あわさく御魂 という。

猿女の君はある時、海に住む大小の生き物を集めて、問い質した。
「お前達は天つ神の御子に仕えたもうか?」
口々に海の生き物達が「仕えます。」と言う中で、海鼠(なまこ)だけは答えなかった。
猿女の君は大変怒り
「この口は、答えられぬ口か!!」といい、海鼠の口を小刀で切り落としてしまった。
海鼠の口が裂けているのはそう言うわけである。
このことがあって、この後ずっと、海からの貢物は猿女の君の子孫に賜るようになった。

*1、現在の三重県壱志郡の辺り

実に不可解な章です。
たかだか道を塞いでいた神に話しをつけただけの女神一人に1章を割いているのですから・・。
しかも当の本人の猿田毘古はどうも不信な死をとげてしまいます。
ヒラブ貝というのは多分、真珠を持っているアコヤ貝の一種ではないかと私は思っていますが、(1mを越す馬鹿でかいのもいますから)そうすると彼は真珠を賜るために(ウズメに??)潜って、死んだ事になりますよね・・・(ーー;)。これは事故と事件の両面で調べる必要があるように思いますが・・・(苦笑)
名前を共有するということは婚姻関係にあったということも考えられるのですが、どうでしょうか?
また彼女は海鼠をいけにえ(?)にする事で、海に君臨する事となりますが、海はもともとスサノオが治めるべきの物でした。ここの所は結構意味深ですよね・・・( ̄ー ̄)

木花の佐久夜毘売
ある日、天津日高日子番能邇邇芸能命=あまつひこひこほのににぎのみこと は笠沙の岬で 麗しい乙女にであった。
「どこの娘だ。」と問えば
「大山津見神=おおやまつみのかみ の娘、名は
神阿多都比売=かむあたつひめ(またの名を木花の佐久夜毘売=このはのさくやひめ)
と申します。」と答えた。
「お前には他に姉妹がいるのか?」
「姉が一人おります。名は石長比売=いわながひめ といいます。」
邇邇芸能命は彼女に求婚をしたが、比売は父神の許しがなければわからないと答えた。
そこで、大山津見神に使いを出してみたところ、彼の神は大変喜び、その姉石長比売と様々な贈り物とを添えて、木花佐久夜比売を送り出した。しかし姉の石長比売は大層醜かったので邇邇芸命は彼女を実家に 送り返して木花佐久夜比売だけと婚姻を結んだ。

この事に大山津見神は大変憤慨して、
「私が姉妹を二人とも送り届けたわけは、石長比売を娶れば、その御世は風雪にも耐えその姿を変えぬ岩のように長く続くように。木花佐久夜比売を娶れば、木の花の栄えるが如く華やかに栄えるようにとの願いを込めてのことである。しかし、石長比売を返したからには御子の御世は花のようにはかない物となるだろう。」といった。
この時から、天皇のお命は永く続かなくなった。

さて、ある日木花佐久夜比売が申し出て言うには、
「私は、妊娠したようですが、この腹の子は天つ神の御子でありますゆえ、私の実家で生む事はなりません。どうしたらよいでしょうか?」
しかし邇邇芸命は
「あの日、たった一晩の契りで妊娠するとは信じられない。私の子ではないのではないか。誰か他の国つ神の子ではないのか。」
と、信用してはくれなかった。
そこで、比売は
「私の産む子が国つ神の子であれば、私は子もろとも死んでしまうでしょう。
しかし天つ神の子であれば必ず無事に生まれるでしょう。」と、言い放つと
扉のない産屋を建て、中に篭もり、回りを土で蓋をして、火を放った。

その燃え盛る炎の中で無事何事もなく誕生した神は
火照命=ほでりのみこと
火須勢理命=ほすせりのみこと
火遠理命=ほおりのみこと(またの名を天津日高日子穂穂手見命=あまつひこひこほほでみのみこと)
である。

名前のたおやかさに似合わず結構気が強いコノハナヒメです^^。
産所に火を放ってしまうんですよ!!
しかし・・・その反面、ニニギは男らしくないったら・・・ちゃんと責任とれ!!ですよね!!

ま・・とにかくこの章は結構重要です。
ここで天つ神と国つ神が融合するわけですからね。
例外としてスサノオとクシナダの婚姻もありますが、スサノオは天を追われた身ですから、厳密にいうと 天つ神ではありませんし・・・。
という事はこの婚姻は「前代未聞」の婚姻だったわけです。
ニニギちゃんったら、おばあちゃまに怒られちゃったのかな^^?って・・・おいおい・・。
彼の代から寿命も短くなってしまうし・・(^_^;)アマテラスのおばあちゃま大激怒!!なんちゃって・・・ (爆)

さて、話しは変わりますが、ここで生まれた3兄弟は、日本書紀と少々名前が違います。
書紀では「火ス降命(スは変換できませんでした(T_T)・・)=ほすそりのみこと」「彦炎出見尊=ひこほほでみのみこと」「火明命=ほあかりのみこと」となっています。

次の章で語られる「海幸彦」「山幸彦」に当たる神もちょっと違います
古事記日本書紀 また書紀の火明命はまたの名を天照御魂神=あまてるみたまのかみ といい、鏡作・鍛冶の神として奈良県磯城郡の鏡作坐天照御魂神社の祭神となっています。


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