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第十分室へようこそ!早速続きを始めたいと思います。

少名毘古那神と国作り
ある日大国主神は海岸で一人の小さな神と出会った。
波の中を天の羅摩船(あめのかがみぶね)に乗り、鵝(が)の皮をはいだようなものを着物にしている不思議な神であった。
名を聞いても答えず、また誰もその名を知らなかった。
そこへ谷蟆(たにくく)*1 がやって来て、崩彦(くえひこ)*2 ならきっと知っているでしょう。と告げた。崩彦は足が不自由でその場から動く事は出来ないが、世の中の事を悉く知っている神である。
早速、崩彦に尋ねてみると
「この神は神産巣日神の御子、少名毘古那神さまです。」 という。
そこで神産巣日神に確認してみると
「間違いなく私の子です。この子は余りに小さすぎて生まれてすぐに私の手のひらから零れ落ちてしまった子供です。少名毘古よ。お前は葦原色許男命=あしはらのしこお(大国主)と協力してこの国の国作りを行いなさい。」

この後二人は協力して国作りを進めていった。
しかし・・・ある日突然、少名毘古那神は常世の国へ帰ってしまう。
大国主の落胆は大きく、彼は一人海岸で嘆き悲しんでいた。
「まだ、われわれの国作りは完了していないでは、ないか・・・。何故一人で帰ってしまうのだ。 私はこれから一人でどうすれば良いのだ・・・。」
その時沖から海を照らして二つの光る玉がやってきた。
そして大国主に向って
「私を祭ったなら、この国の将来は安泰でしょう。だが祭らなかったら、国は滅びるでしょう。」 と、言った。
「では、何処にお祭りさせて頂けば良いのでしょうか?」
大国主が問うと玉は答えた。
「大和の国をぐるりと青垣のように囲む、山の上に祭りなさい。」

この神は今、御諸山の上に祭られている。*3

*1、がまがえるのこと
*2、山田の久延彦、かかしのこと
*3、今の奈良県の三輪山にある大神神社(おおみわじんじゃ)のご祭神。大物主神。

さてさて・・・^^
最初から不思議な格好の神様の登場です。
カカミフネとはガガイモという植物の実を二つ割にした物ということですが・・・私は最初は字面から 鏡船・・・光る船かと思いました^^;。そんな感じしません??
その上蛾の皮???てらてらと光る羽の事では???なんてね!!いつもの・・あやしい( ̄ー ̄)が出てしまいます。
そこでまたオオクニヌシを助けてくれるのは「人でないもの」です。ガマガエルとカカシ☆
なんともはや。。。^^;;
ここでSF的な訳をしますと、光る船に乗って、光る服を着た小さな人がやってきた。言葉が通じないので カエル(異星人?)がカカシ(パラボナアンテナ?)を使って母星と交信したらお手伝いにやってきた、 異星人だった!なんてね・・・。あっだめ?!へへへへ・・・
では最後に一言。スクナヒコが常世に帰っていった方法の一つに粟の茎につかまってビヨ〜ンと跳ね飛ばされていった。というのがあります^^。これってロケットの発射??・・・もうこれくらいにしとこ^^;。
あっそうそう☆スクナヒコは農業とお酒の造り方・薬の作り方などを教えてかえっていきました。
スクナヒコという協力者を失ったオオクニヌシの前に現れたのはまたまた不思議な物体です。この光る二つの玉はオオクニヌシの「幸魂=さきみたま」と「奇魂=くしみたま」だと言われています。
でも今現在空を飛ぶ光る物体といえば・・・オッと・・^^;また話がSFに・・・・
話を戻しますと、この光りは神様なんですね、そして自分を祭れ!と!この神様がまた我侭で 場所まで指定しちゃいます。
それも大和の国を見下ろせる所・・・またまた意味深ですねぇ・・・
大物主のお話はまた後からも出てきますので、お楽しみに^^!

大年神の神裔
さて、大年神=おおとしのかみ*1 と

神活須毘神の娘、伊怒比売=いのひめ との間に誕生した神は
大国御魂神=おおくにみたまのかみ
次に
韓神=からのかみ
次に
曾富理神=そおりのかみ
次に
白日神=しろひのかみ
次に
聖神=ひじりのかみ

また香用比売=かよひめ との間に誕生した神は
大香山戸臣神=おおかがやまとおみのかみ
次に
御年神=みとしのかみ

また天知迦流美豆比売=あまちかるみずひめ との間に誕生した神は
奥津日子神=おきつひこのかみ
次に
奥津比売神=おきつひめのかみ(またの名は大戸比売神=おおべひめのかみ)
この神はすべての民がお世話になっている、竈(かまど)の神である。
次に
大山咋神=おおやまくいのかみ(またの名は山末之大主神=やますえのおおぬしのかみ)
この神は淡海国の日枝の山*2 に坐し
また葛野の松尾*3 に坐し、鳴鏑(なりかぶら)を持つ*4 神である。
次に
庭津日神=にわつひのかみ
次に
阿須波神=あすはのかみ
次に
波比岐神=はきひのかみ
次に
香山戸臣神=おおかがやまとおみのかみ
次に
羽山戸神=はやまとのかみ
次に
庭高津日神=にわたかつひのかみ
次に
大土神=おおつちのかみ(またの名は土之御親神=つちのみおやのかみ)*5

以上、十六柱は大年神の子である。

ここから二代目
羽山戸神と
大氣都比売神=おおげつひめ*6 との間に誕生した神は
若山咋神=わかやまくいのかみ
次に
若年神=わかとしのかみ
次に
妹、若沙那売神=わかさなめのかみ
次に
彌豆麻岐神=みずまきのかみ
次に
夏高津日神=なつたかつひのかみ(またの名は夏之売神=なつめのかみ)
次に
秋比売神=あきひめのかみ
次に
久久年神=くくとしのかみ
次に
久久紀若室葛根神=くくきわかむろつなねのかみ

以上、八柱は羽山戸神の子である。

*1、須佐之男命と大山津見神を父にもつ神大市比売との間に誕生した神
*2、滋賀県の坂本の日枝神社。後世山王ともいう
*3、京都市左京区の松尾神社
*4、鳴鏑とは矢の種類、音をたてて飛ぶ矢。鳴鏑を持つとは、秦氏に関係すると考えられている
*5、大地母神といわれている

ここは突然オオクニヌシよりも数代前のオオトシが出てきて長々と末裔を列挙しています。
ほとんどは人が耕作中心の生活をするうえで必要と思われる物の擬人化が多いように思います。
でもでも!良く見ると色々といわくつきの神様も登場しています^^。
日枝神社や松尾神社などに関わるもの・・また後に、このオオヤマクイとタマヨリヒメとの間に 誕生した、別雷神=ワケイカヅチという神は上賀茂神社の祭神となっています。
秦氏や物部氏に関わってくる神社が多く登場するのは何故でしょうか?
またオオトシの兄弟神である、宇迦之御魂神=うがのみたまのかみ は伊勢神宮の「外宮」の祭神、 豊受神の異名同神であると考えられています。
アマテラスの「内宮」とトヨウケの「外宮」が仲が悪いのは周知の事実ですね。
ここでもまたアマテラス系とスサノオ系の亀裂が感じられます。

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